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マッチ・プレッシャーに科学で対抗する【海外の反応】

投稿日:2017年4月7日 更新日:

私は射撃以外のスポーツについては、ほぼ全くのド素人です。野球のルールすらよく分かってないレベルのスポーツ音痴です。ですがいろいろとスポーツをやってる方の話を聞くにつれ思うのは、こと「マッチ・プレッシャー」が成績に及ぼす影響の大きさという点では、射撃というのは他の数多くのスポーツに比べても抜きん出たものがあるらしい、ということです。
 

499px-Bashar_al-Assad_under_pressure普段の、ごく普通な生活では全く体験することがない強烈なプレッシャーにさらされる射撃競技というスポーツ。それを面白いと見るか辛いと感じるかは人それぞれですが、少なくても射撃をするならプレッシャーとの付き合い方は知っておかなければならないということだけは言えます。

射撃競技を始めてみて、そういったごく普通に平和な日常生活を送っているだけなら絶対に相対することなどないであろう強大なプレッシャーに唐突に向き合わなければならなくなった時、人はどういう行動を取るのでしょうか。

中には、足が震えるようなマッチ・プレッシャーこそが射撃の面白さであり醍醐味だ、と感じることができる人もいます。しかしそうではない人、ただひたすら苦しい思いをするだけで面白いと感じることができないという人もいるみたいです。APSカップを例に出すと、練習では素晴らしい成績を出しているし身内のマッチではそこそこ良い順位に入っている(ときには優勝することもある)くらいなのに、APS本戦や公式記録会で感じる大きなプレッシャーはただ辛くて苦しいだけなので、本戦には参加しない――という考え方の人もいるのだとか。

普段の生活では直面することのない事態に対応しなければならないのですから、これまでの人生の経験や知識は何の役にも立ちません。全く新しい対処方法を見つけ出す必要があります。その点では、経験のある有能なコーチに指導を請うだとか、書籍などを参考にするというのは良い方法です。

とはいえ、人の心というのは千差万別です。10人いれば10通りのプレッシャーがあり、それへの対処方法も10通りあります。どんな人にも適用できるマニュアル化された「プレッシャーへの対処方法」というのはあるのでしょうか?

「様々な個性を持った人間を一同に集めて画一的な訓練を施し、その全てをタフで使える人材へと育て上げる」ためのノウハウでは他の追随を許さないレベルの高さを持っているのが、軍隊という組織です。スポーツクラブや学校や会社組織などでは許されない、人権や安全に関しての優先順位が低いトレーニングすら、「国家の安全保障のため」という大義名分のもとに許容されることがあるくらいです。

そういった軍隊における訓練で培われた「人の精神を鍛えるための技術」からのフィードバック、さらには最新の脳科学からの研究結果などを総合して、「誰にでも適用できる、プレッシャーへの対処方法」へと迫ろうとする記事がSHOOTING SPORTS USAのサイト内に掲載されていました。物凄い長文なので要点だけ抜粋しようかとも思ったのですが、省ける場所なんかないくらいに濃い内容だったので、何度かに分けて掲載したいと思います。

「射撃は90%はメンタルである」の翻訳一覧
マッチ・プレッシャーに科学で対抗する←いま表示してる記事
「古い脳」からの悪い信号を「新しい脳」からの良い信号で上書きする
マッチ・プレッシャーを拡散させるための、ある一つの簡単な方法
訓練によって自分の脳を作り変えることができる
集中するということは、余計なことを思考から排除するということ
自分で自分の記憶を作り変える方法
その瞬間、世界はスローモーションになる

 

射撃は90%はメンタルである

引用元:SHOOTING SPORTS USA
Chip Lohman著 - 2015年8月5日


「射撃は90%がメンタルである」ということに同意しない人はあまりいないでしょう。しかしそれを現実に適用する方法は人によって全く異なります。たとえばある射手が物事を難しく考えすぎて伸び悩んでいる時には、コーチは「今の、この瞬間のことだけを考えなさい」というアドバイスを行うことで取り組むべき課題を視覚化することを試みるでしょう。

この記事では、批判的思考、脳の健康状態、さらには脳に対して可塑的な変更を行う方法について、射撃スポーツの視点から見た最近の研究について触れています。Drs.Judy TantとMike Keyesが、より複雑な臨床所見からの助言を与えてくれると同時に、彼ら自身の射撃アスリートとしての経験を共有してくれました。(彼らの経歴については巻末を御覧ください)

Dr.Keyesの言葉:
非常に優れた記事だと思います。あなたが以前に書いたインタビュー記事の内容、SEALの研究、そしてトレーニングとティーチングに関する最新の知識を組み合わせたものです。競技のためのトレーニング方法に関する書籍の内容は長い間要点を外したものとなっていましたが、現代科学は何が目的達成のために必要なのかを検証し、誰にでも適用できるようにローカライズを行ってきました。

 

訳者注:「SEAL」というのは言わずと知れたNAVY SEALsのことです。アメリカ海軍の特殊部隊ですね。非常に厳しい選抜テストや、歴史の転換点となるような様々な作戦に関わっていることで有名です。

Ernie Vande Zande、Lanny Basham、Lones Wiggerの発言には特に興味がありました。彼らにはフォート・ベニングで何度も会ったことがあります。様々な話をしましたし、彼らが射撃をするところを見たこともあります。Doug KoenigのTV番組もフォローしています。彼はマッチプレッシャーに対し、訓練によって非常に積極的に対処していることは明らかです。

 

訳者注:Lanny Basham(ラニー・バッシャム)の名前は当ブログでも何度も出てきたことがあります。メンタル・トレーニングについて書かれた本としてはバイブルに近い存在である「メンタル・マネージメント―勝つことの秘訣」の著者ですね。もう20年も前に書かれた本ですが現在にも通じる内容が多く、「プレッシャーに対抗するために自分の精神状態をどういう具合に律するべきか」ということについて勉強しようとするときには、まず基礎知識としてこの本を読んでおかなければ話にならない、といっても言い過ぎじゃないレベルの本です。
メンタル・マネージメント―勝つことの秘訣 (Amazonへのリンク)

 

訳者注2:なんの説明もなく唐突に出てきた「フォート・ベニング」という地名ですが、これはアメリカ陸軍最大の基地であるフォート・ベニング基地のことだと思います。USAMUという、「陸軍全体の射撃基準を上げるための研究機関」の本拠地でもあります。民間人でも使用できる非常に立派な射撃場があり、軍主体での射撃会なども頻繁に行われています。アメリカ全体から軍民問わずありとあらゆる射撃技術に関する情報が集まる場所なんですね。

ただ、読者の方に言っておきたいことは、こういった射手それぞれのアプローチは非常にパーソナルなものであり、他の人が同じことをしてもうまくいくとは限らないということです。ストレスに対してどういう反応をするのかを決定する基本的な原則とは、自分にとってうまい具合に働く具体的な方法を見つけて、試合の場でも練習場でも練習することだ……ということは、インタビューの全体にわたって語られる一貫したテーマになっています。

非常に高いレベルにおいては、射撃を学ぶ方法や、マッチプレッシャーに対処する方法に関する問題については、多くの部分がすでに解決されています。しかし、そのレベルに辿り着き問題を解決するためには、しっかりとした技術的基盤が必須です。才能、すなわち射手が「成功へのハシゴを登る」ために必要となる「フィジカル」「メンタル」「サイコロジカル・アトリビュート」(訳者注:「身体能力」「精神力」「性格」とでも訳したら良いのかなあ)は有効な要素ではありますが、出発点に過ぎません。エリートレベルに達するためには困難なトレーニング過程が必要です。「1万時間」を目標なく漫然とただ練習するのではなく、集中して良く考えなければなりません。つまり練習をするときには明確な目標と、そこに行き着くために具体的なビジョンを持っていなければならないのです。

ある程度の経験を積んだ非常に良い射手は、成功するために必要なものについて自分なりの良いアイデアを持ち、分析能力も非常に優れたものを持っています。しかし、そのような射手であっても、優秀なコーチの助けを借りて一歩先に進むトレーニングを行い、成績を伸ばすことが可能です。要するに、成功するためにはトレーニングをしなければならないのは当然ですが、その「トレーニング」とは正しいものでなければならず、そうでなければ時間を無駄にするだけだということです。良い「トレーニングのベース」を持っていなければ、最も深刻なストレスにさらされたときには、あなたがたとえどれほど素晴らしい「才能」を持っていたとしてもそれはあなたを助けてはくれません。

私は以前からLones WiggerやLanny Bashamのような射撃の熟練者がどれだけ自らを「より良い状態」にするために頑張っていたのかを知っています。 私たちが当時持っていなかったのは、全ての射手にとって有効な、「最高になるために何をすべきか」を明らかにするための幅広い知識と優れた方法でした。まだ明らかになっていない難しい事柄も残ってはいますが、今ではその困難な仕事の方向性について過去の私たちよりもずっとたくさんのことを知っています。

 


これだけでけっこうな長さになりましたが、これはまだ導入部であり前フリであり序文でしかありません。ここから先、ようやく「マッチ・プレッシャーに関する所見」そして「NAVY SEALによる研究」へと進んでいきます。のんびりと訳していきたいと思います。

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