そんなこんなでテクテク歩いてきて、ようやく本命の金色堂に到着。もちろん野ざらしになってるわけじゃなく大きな覆堂の中に厳重なガラスケースがあって、その中に厳かに展示してある。
さすがに国宝だ世界遺産だ言うだけあって、屋根から縁側から扉まで全部金ピカ、奥に見える柱や台には、貝や象牙や宝石が散りばめられていて、豪華絢爛なんてレベルじゃない……のだけれど、この展示、正直言うとちょっとガッカリ。確かに凄いんだけれど、全体が金ピカのものをこんな隅々まで良く見えるように丁寧に明るくしちゃったら、厳かな雰囲気もクソもなくなって単なる悪趣味にしか見えないというか。
多分、本来は点光源、例えばロウソクとかのゆらゆら揺れる灯りがごくわずかだけ使われていて、それに照らされて光り具合がゆらゆらと動く、そんな感じの鑑賞のされかたを想定してる造作なんじゃないかと思う。もちろん本当にロウソク使うわけにはいかないけど、そんな感じに揺れる照明をLEDとかで再現するのはそれほど難しくないと思うのだが……。

この覆堂、見た目こそそれっぽくしてはるけれど、近寄ってみるとコンクリとか使われた普通によく見かける新しい建築物である。中に入ると撮影はできないので、ちょうどこの写真を撮った位置が「金色堂に行ってきました記念写真」の撮影スポットになっている。入れ替わり立ち代わりやってくる団体客さんの切れ目を狙って撮ったものだ。

で、中は撮影できないので
中尊寺の公式サイトからスクリーンショットを引用。「隅々までしっかり照らされちゃってたんじゃ、雰囲気が台無しじゃないか」っていう気持ちに少しでも共感していただけたら。

別の場所に、かつて使われていた木造の覆堂も建っている。確かにこっちに入っていたほうがそれっぽい雰囲気に見えそうな気も。金色堂のレプリカは
NHK大河ドラマのセットを流用して作ったテーマパーク内にあるそうだけれど、どうせならコレの中に入れちゃったら良かったんじゃないか?

ふと見ると、芭蕉さんが佇んでいた。
メインのルートから外れた、「あれ、本当にこんなボロボロの道に入ってもいいのかな?」と不安になりそうな細い道を進んだ先なんかに、完全に忘れ去られてるんじゃないかと心配になる小さいお堂とか祠とかがあったりする。でかくて立派で金ピカなのよりは、こういう方がなんか、性に合うというか。