トイガン射撃 製品レビュー

カスタムライフル紹介/タケさんライフル・青

投稿日:2013年4月14日 更新日:

先日、赤羽フロンティアにて開催したピンポイントシューティングにて、いつも自作カスタムライフルで参加していただいているタケさんが使用していた「青バージョン」のAPS-3のリポートです。以前にもタケさんライフルは一度このブログにて紹介させていただいてますが、そのとき使用されていた、スコープ仕様の銀色ライフルではなく、「本番用」ということでメインで使われているのがこの青バージョン、といった使い分けをしているのだそうです。

銀/青の両方ともスコープ仕様/オープンサイト仕様の両方に対応はしているそうですが、なんとなく流れで銀色バージョンがスコープ、青バージョンがオープンサイトというようなイメージになっちゃってますね。

そのエアガン専用パーツではなく、ホームセンター等で普通に手に入る材料を使ってカスタムライフルを組み上げてしまう手腕をご覧ください。

まず目を引くのがストックからバットプレートにかけてのこの部分です。バットプレート(実際に肩に押し当てられる部分)とその台座だけは実銃の競技ライフル用のパーツを使われていますが、それ以外の部分は普通のホームセンター等で手に入る部材の組み合わせです。アルミアングルを土台にして、棚や引き出しなどの素材として販売されている金属パーツが使われています。
いろんなステッカーが貼ってあるところが、また競技銃らしさを際立たせていますね。
見た目の割に数少ない実銃用パーツの一つがバットプレート、構えた時に肩に押し当てられる部分です。

正しい立射姿勢を取ると、体に押し当てられる部分というのは銃の下で支える左手と右肩の2箇所だけになります(グリップを握ってトリガーを引く右手は、ごく弱い力で添えるだけ)。銃の位置決めをするための極めて重要なパーツの一つがこのバットプレートになるわけで、上下の位置だけでなく角度や曲がり具合など様々な部分を微調整できるような仕組みになっています。
トリガーユニットは蔵前工房のAPS-2用のカスタム品で、トリガーそのものはファインベルクバウ(競技用ライフルメーカー)のものを流用しているとのこと。グリップは、やはり競技用ライフルのものをベースに型取りして複製したものなのだそうです。
昨年までの「青ライフル」と大きく違うのがフォアエンドレイサー。銃を下から支える左手が接する部分です。形といいトリガーガードから綺麗に続く曲面といい、これもてっきり実銃用パーツを流用したものかとおもいきや、近づいてみるとなんと引き戸のレールかなにかをベースに手作業で削りだしたものです! 端面の曲線も特別な工具を使ったわけではなく、手持ちのヤスリで削り出したものだそうです。側面にある黒い丸いポッチといい、こういった細かいところが全体を見た時の美しさに繋がるんでしょうねえ……。
美しさといえば、ストック側面にある角丸長方形(楕円形?)の穴ですが、銀色バージョンでは黒いシールが貼ってあるだけでしたが、青バージョンでは本当に穴が開けられています。

この青色は自動車用スプレーによるものだとか。銀色のアルミ素材にクリアー系の塗料を吹くとちょうどこんな感じになるのだそうです。
バイポッドは、物干し台の部品をベースに自作されたもの。六角ボルトで留めてあるだけなので、バイポッドを握って力を入れて動かすと簡単に角度が変わってしまいます。締め付け具合で調整されてるだけなので、うっかりすると銃を置いたとたんにバイポッドがヘタレてそのまま銃が「しゃがみこんでしまう」ことになったり。「ここはちょっと考えないとならないなとは思ってるんですよね」とのことでした。
リアサイトは、ゲーマン製のものが取り付けられています。言うまでもなく、実銃の精密射撃用のパーツです。銃本体の青色とマッチしていて綺麗ですね。

新品で買ったらそれこそAPS-2本体が数挺買えてしまうような値段がするシロモノですが、少し型遅れになったりしている中古品の出物を探すと比較的安く手に入ることもあります。……といっても数千円~一万円ちょっとくらいはしちゃいますが。ちょうどライフルショップエニスの特価品情報が4月12日に更新されたばかりです。「銃付属品」のところにある「リアサイト」と書かれた製品を探してみましょう。だいたいどのくらいの値段なのかという見当がつくと思います。もっとも、誰もが欲しいと思いそうなパーツは掲載と同時に売れちゃってたりするんですけれどね。

こちらはフロントサイトです。ライフルでの精密射撃競技では、リアサイトに開いた穴を通して、フロントサイトの中に浮いているドーナッツ状のリングと、ターゲットの黒丸を同心円状に並べることで照準します。リアサイトの穴の大きさ、フロントサイトの中の「ドーナッツ」の外径・内径は、それぞれ同心円に並べるときの隙間の広さに直結するわけで、精密な照準をするためには極めて重要な要素になります。

普通は、フロントサイトの中に挟み込むインサートを何種類も揃えて、それを交換することで調整しますが、このフロントサイトは「ドーナッツ」の外径・内径をダイヤルを回すことで微調整できるタイプのものです。

フロントサイトが乗せられている銀色の台座はアルミから削りだしたもの、さらにそれが乗っかってる八角形の台座はマルゼンAPS用の純正パーツだとのこと。

カメラのレンズを近づけて細かい所をアップで撮影すると、さすがに手作りならではの荒い部分があることが分かりますが、普通の距離に離れて見ると、これまた見事なアルミストックの競技用ライフルにしか見えません。それに、実際に銃を借りて構えてみると、ものすごくしっくりと身体に馴染んで銃が止まり、顔を前に向けてチークピースに頬を載せるだけで視線がリアサイト―フロントサイト―標的と一直線に揃います。

マルゼンのAPS競技用ライフルというと、APS-2とT96がありますが、両方とも軍用スナイパーライフルをデザインモチーフとしているため、バイポッドやレストを使った伏せ撃ちには良くても、競技における立射姿勢には正直言ってあまり適していない形をしているという難点があります。といっても、世に出ているエアガンのライフルのほとんどはそういった銃ですから、それが「立射姿勢には向いていない形」なんだということ自体が、APSシューターにすらあまり知られていないのが現状です。

タケさんのように実銃での競技射撃をやっている方なら、そちらの専用品(それこそ世界トップレベルの人たちによる切磋琢磨の末にコストをかけて創りだされた最高品質のもの)を使用した経験や知識をもとに、エアガンでもこういった「構えやすくて、狙いやすい」競技ライフルを自分で作り出すことができますが、そういった経験を持つ機会がない一般の方々だと、自分の姿勢を無理に作ることで軍用ライフルをなんとか構えて照準をつける、それが当たり前だと思ってしまっている人も多いんじゃないでしょうか。

APSカップ本大会では、ライフルクラスの上位が「射撃コート」を着た人たちばかりになっているため、コートの禁止をするべきではないかという議論があるそうです。ですが実際のところ、コートの有無よりもそもそもちゃんとした競技ライフルを撃ったことがあるか、ないかという経験の差が大きいんじゃないかという気がしてなりません。

例えば、バットプレートの位置一つとっても、軍用ライフルのように銃身のほぼ真後ろに肩当て部分がくるようなものだと、普通の立射姿勢を取るとバットプレートの位置が高すぎて下端を鎖骨のくぼみに当てるような構え方になってしまいます。銃身を支えるのを教本どおりに「腰の真上」にすると、銃は前のほうが重いですからバットプレートが浮き上がってしまい、それを抑えるためにグリップを握った右手に力をいれざるを得ません。でなければ、まるでクレー射撃をするときのようにストックの前方を下から支えるしかないわけですが、そのためには左手を筋肉の力を使って止める必要が出てきます。いずれにせよ競技射撃での基本となるボーンサポート(骨格保持)とはかけ離れたフォームになってしまいます。

軍用ライフルに比べてバットプレートがずっと低いところにあり、さらに後方に脇の下に入れるフックが付いているのには意味があるのです。こうすれば、腕の筋肉にはほとんど(できれば、全く)力を入れなくても銃を支えることができるので、銃がより安定して止まるのです。筋肉に力を入れず、全身を脱力した状態でも照準がちゃんと標的方向に向けるためには、力を入れて腕を動かすのではなく、銃の身体に触れる部分(バットプレートの位置や角度、フォアエンドレイサーの高さなど)を微調整するわけです。

そういった調整をしたライフルを携えて出場している人に、軍用ライフル(の形をしたライフル)を筋肉の力で支えて標的を狙ってる人がスコア的に遠くおよばないものになってしまうのはある意味しかたのないことで、それはもうコートの有無がどうこうといった話よりもっと根本的なところに「なんとかしなきゃならないところ」があるんじゃないでしょうか。

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