アニメ・コミック

石ノ森萬画館の短編映画

投稿日:2013年2月15日 更新日:

昨年の11月、石巻にある石ノ森萬画館が再開しました。昨年の始めに前を通った時には、うず高く積み上げられたガレキの中にたたずむタマゴの形をした建物が、異様な迫力を放っていたのを覚えています。建物自体は無事だったものの、津波で電気や水道などの設備はほぼ全滅状態だったとのこと。復活にはなみなみならぬ苦労があったことと思います……。

石ノ森章太郎、我々くらいの年代だと「ノ」が入っていない石森章太郎ってPNのほうが馴染みが深かったりします。幼少期からの刷り込みというか原体験になっているマンガ家の一人ですね。我が家には週に一冊だけ好きなコミックを買って貰えるという習慣があり、サイボーグ009の単行本を一冊ずつ買ってもらって、擦り切れてボロボロになるまで何度も読み返したりしたものです。

この萬画館、公式サイトによると現在リニューアル工事中で、3月23日にいろいろと展示を入れ替えて再オープンするとのこと。震災後の再開からリニューアル前の僅かな期間に訪れることができて幸いでした。

正直言って、それほど立派な博物館というわけでもありません。ちょっとしたハリボテの見世物と、ささやかな展示物、そして2つのオリジナル映画の上映、あとは自由に読める資料室といったところがほとんど全てです。009の「地底帝国ヨミ」や「ブラックゴーストの正体」が再現されたエリア、「佐武と市捕物控」の雰囲気が再現されたエリアなんかはそれなりに雰囲気がありますが、あまり広くないしゆっくり休める場所があるわけでもないし、一度行けば十分? ここらへんはリニューアルで大幅に変わるとのことで、ツイッターには取り壊してる最中の写真まで載ってますので、とりあえず一度は見ておくことができてラッキーでした。

さて、映像ホールで上映されているオリジナルの映画について。一本が15分の短編ですが、これはなんというか、「好きな人が作ったんだなぁ……」ってことがヒシヒシと伝わってくる出来です。

一本は「消えた赤ずきんちゃん」と題して、石森キャラ総出演のお話。特にストーリーらしいストーリーがあるわけでもなく、ただ画面に石森キャラがこれでもかこれでもかと出てくるお話です。凄いのは、登場キャラ数が何十人もいるのに、声優が山寺宏一と松本梨香の2人だけというところ。七色の声どころの騒ぎじゃありません。これぞまさにプロの仕事です……。ちょっとまえ、「武装神姫」ってアニメで話題になった阿澄無双とか、先日「大阪おかん」ってアニメで話題になった井口無双なんてのがありましたが、そこらへんが裸足で逃げ出しそうな勢いの無双っぷりです。

もう一本は「龍神沼」。石森章太郎のかなり初期の作品で、御大自らによる「マンガの描き方入門」の題材として使われたこともある作品です。大胆なコマ割り、およそ「マンガ」の常識を打ち破るような無茶苦茶一歩手前の場面転換や独特のリズムなど、かなり演出に力の入った力作ですが、ストーリーとしては実にオーソドックスな「頭が良くて行動力のある格好いい少年が、可憐で一途な少女を助ける」といったもの。平凡な話を大胆な演出で読ませる、ある意味で「萬画家」としての石森章太郎の真骨頂が良く現れた作品といえるでしょう。

短編映画は両方ともマッドハウス制作。可愛らしいキャラが奥行きのある画面で良く動きます。「龍神沼」の監督は浅香守生。いわずとしれた「カードキャプターさくら」の布陣ですね。足首のクビレがない良い感じで丸っこい可愛らしいキャラクターが魅力たっぷりに描かれます。ただし、原作に忠実かといわれるとそうでもありません。原作マンガでは、ヒッチコックのサスペンス映画によくある頻繁な画面転換(いわゆるモンタージュ手法ってやつですか)を彷彿とさせるような大胆なコマ割りが印象的なクライマックスのシーンが、短編映画の方では1つのシーンを美しい画面効果を活用して時間を使って見せるというやり方に変わっていました。これはこれで監督の持ち味というか得意技炸裂の演出手法なわけで、短い映画ながらオタクにとっては楽しみどころ満載です。

オタクな楽しみどころといえば、映画が始まる前の「携帯電話の電源は……」のアレ。009が井上和彦の声でやってくれたりします。これはこれで今となっては貴重?

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