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ワインツーリズム2012~その11・八代醸造

投稿日:2012年11月25日 更新日:

ワインツーリズム2012の最後は八代醸造で締めくくることにします。

ここは、昨年も一番最後に訪れたところです。マスカットベイリーAを10年以上も熟成させた「シャトー・モンターニュ1999」の有料試飲がとにかく美味しかったので、今年もそれを飲みにきたようなものです。

実のところ、この2日間他のワイナリーでもマスカットベイリーAのワインを「これは良い出来です」と自信を持って薦められたりするのですが、それを飲むたびに「去年、八代で飲んだアレの方が美味しかったよなあ…」と、どうしても頭の中で比べてしまいました。シャトー・モンターニュ1999は、私の中で完全にマスカットベイリーAのワインを判断するときの基準になってしまっています。

けれども、このワインは社長によれば「たまたまできた、偶然の産物」のようなものだといいます。こういった自産自消を目的に作られたワイナリーは、その年に作ったワインは次の年のワインができるまでには飲みきってしまい、何年も置いておくなんていう「もったいないこと」はしないのが普通です。このワインは樽で3年、一升瓶で7年、ほとんど「忘れ去られた」ような状態でほったらかしにしてあったのを、ちょうど創立30周年記念だからということで瓶詰めし、主にお得意様を対象に売りだしたものなのだそうです。一般販売するようになってから口コミで評判が広まり、限定1500本が、この日の時点でもう残り30本かそこらになってしまいました。

来年になると2000年モノが出てくるかというとそんなことはなく、「たまたま、熟成されていたワインが見つかる」ようなことがない限りは、次はないということです。

……次に『たまたま』がくるのはいつ頃になるでしょう?
と聞いてみたのですが、答えは

「いやあ、それは分からないねえ」

というものでした。

去年は、同じラベルで「限定1500本」と書かれていないその年の新酒も引けをとらない出来だったのでそちらを購入したのですが(値段は半分くらいだし)、今年のマスカットベイリーAシャトー・モンターニュは、色も味も薄く香りも薄っぺらで、全然比べ物にならない出来でした。

アレ? 去年は雨が降ってて寒かったから味の感じ方が違ったのかな? それともワインの出来そのものが違うのかな? とにかくこれでは、「かわりにこっちを」という気にはなれません。残り僅かになっている1999シャトー・モンターニュを買うしかありません。……とか言ってるうちにどんどん売れていきます。残り数本、というところになったところで決心して購入しました。

昨年は、1日目が晴天、2日目が雨天でした。今年はその逆で、1日目が雨天、2日目が晴天です。バス停からニュー山梨ワインに向かう途中にある参道の写真も、昨年のものと比べるとまるで別の道のようです。

2012シャトー・モンターニュはいまいちな出来でしたが、三美神の白は当たりでした。白が甲斐ブラン、赤が甲斐ノワール、ロゼもあってこちらは甲州に少しだけ甲斐ノワールを混ぜたものです。甲斐ブランというのも山梨で開発された品種で、甲州とピノ・ブランの交配種です。あまり良くない甲州ワインにありがちな、少しねっとりした感じというかちょっと嫌な雰囲気みたいなのが無くて、すっきりとした酸味が特徴です。今年の「三美神」は、それがちょうどいい感じの辛口に仕上がっていて実に美味しいのです。

八代醸造のワインはどれもほとんど地元で消費されてしまうので、例えば東京のスーパーやデパートのワイン売り場なんかで見かけることはまずありません。主なラインとしては、「甲州路」「三美神」「シャトー・モンターニュ」の3つがあります。ごく大雑把にいって、前から後につれてグレードが順番に上がっていくと考えて間違いありません。

生産されているワインのほとんどはやっぱり一升瓶で、値段も安く720mlとほとんど変わりません。なんでも酒税の計算方法の関係で、一升瓶にすると720ml瓶よりもお得になるのだそうです。地元で消費するのは一升瓶、720ml瓶は遠くから買いに来てくれた人むけの、いわば「よそ行き仕様」ということになるみたいですね。悪く言えば、観光客向けのボッタクリ価格ってことに。まあ、それはちょっと言い過ぎですが。

良くも悪くもお土産ワインな「甲州路」。試飲用のテーブルに出てはいるのですが、ツーリズムに参加して試飲に来るような人だと一口飲んだだけで「ん、これはもういいや」と思うのか、もう手を付けません。だからずーっと飲みさしのままテーブルの上に残っています。

一方、「三美神」や「シャトー・モンターニュ」は「ん、これは美味い」と思うのでしょう、次から次へと試飲用グラスに注がれあっという間に空になってしまいます。空になったボトルを、「すいません、空になっちゃったんですけれど…」と販売場所に持って行くと、すぐに奥から新しいボトルを持ってきて開けてくれます。試飲会というよりほとんど飲み会の様相を呈してますね。2日目の午後ともなれば、昨日今日と十数箇所も回った人も訪れてくるので、ここのアレがよかった、あそこのソレがよかったと試飲してきたワインについての感想や意見のやり取りにも熱が入り盛り上がります。

ニュー山梨ワインから八代醸造への道のりは、かなりややこしく地元の人でも迷うほどだそうです。地図によると「橋を渡ったら左折」と書いてあるのですが、書いてあるとおり左折すると、そこの曲がり角の家の玄関前でなんか作業をしていた人が間髪をいれず「こっちより、そっちに曲がったほうが近いよ!」と声をかけてくれました。

順路的に、八代醸造はルートの最後の方に配置する人が多いようで、見知った顔を見かけることもあります。

「昨年、ここで会いましたよね?」
「ええ、なんか見覚えのある顔が歩いてくるな~って思ってたんですよ、まあそんなことはいいです、アレ飲みました?」

別れるときも、「じゃあ、また来年ここで会いましょう!」なんて言って別れます。互いに名前も知らないのに……いや、あの人はこのブログを読んでくれてるって話でしたから、先方はこっちの名前を知ってるのか、まあそんなことはどうでもいいことで、とにかくきっとまた来年にはここで会えることでしょう。


八代醸造
http://www.shokokai-yamanashi.or.jp/~fuefuki/member/01/s0406.html
所在地 :〒406-0821 笛吹市八代町北1552-1
TEL:055-265-2418


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