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ワインツーリズム2012~その8・五味醤油

投稿日:2012年11月23日 更新日:

信玄ワインからほど近いバス停のすぐ前にテントや販売ブースが出ていて、ツーリズムのタスキをかけた人が何人も売り子をしていました。マップにはとりあえず名前は書かれているのですが、特におすすめスポットになっているわけでもありません。ここは「五味醤油」というお味噌屋さんです。豚肉の味噌焼きの他、つきあいのある書店や干しぶどう屋が出店していますが、まだ時間が早いということで販売は開始されていませんでした。
奥には、年季の入った木造の味噌工場があります。工場見学もやっているとのことで、2日目は回りたいワイナリーの数も少なく時間に余裕があったので参加させてもらうことにしました。案内をしてくれる五味仁さんは、ここの6代目とのこと。
この「五味醤油」、創業は明治元年。社名に醤油と付いてはいるのですが、実は醤油はここ30年くらい作っておらず、主な製品は味噌と麹とのことです。もちろんワイナリーではないのでワインは作っていません。けれど同じ発酵食品というよしみで(?)、ワインツーリズムにも深く関わっているのだとか。前日の夜に甲府で行われていた「ワインストリート」というイベントの旗振り役のような立場だったとの話です。

実は、味噌作りにはけっこう興味があったのです。以降は「もやしもん」の受け売りになってしまうのですが……。「味噌は日本人の食生活に深い関わりがあり、食事においておよそ欠かすことができない存在になっていると同時に、地域によってまるで違う特色を持ち、それがまたそれぞれの地域の食文化の特徴になっている発酵食品だ。全国各地の味噌作りを見て回ることは、ワイナリーをめぐるのと同じようにその土地々々の食文化の根幹を味わうのと同じ楽しみがある」のだとか。

日本の食文化を特徴づける発酵食品というと「醤油」が挙げられます。しかし醤油については千葉県産のものが日本中を――いや世界中を席巻し(キッコーマン一社で世界シェアの半分以上を占めてるのだとか)、地方色はほぼ消えてしまっているのが現状です。けれど味噌については地方独自の特色というものがまだまだ色濃く残っているところが面白いのです。

大豆を茹でる釜や、発酵させる麹部屋を案内してくれます。麹部屋はさすがに立入禁止ですが、中を覗き込むくらいまではOK。
味噌は、大豆をベースに大豆、米、味噌などから作られた「麹」を加えて作られた発酵食品です。日本全国で広く消費されているのは米麹を使った「米みそ」ですが、山梨で作られ、広く使われているのは米麹と麦麹を両方使った「甲州みそ」。山梨県は山に囲まれた盆地のため平地が少なく、昔から米の生産量がそれほど多くないため、貴重な米を少しでも節約するために、米の裏作で採れる麦を使った味噌が昔から作られてきたのだとか。

木造の古い建物ですが、「甲府空襲」によって完全に焼失したものを戦後に再建したものとのことです。「戦後、何もない混乱した状態で、更地になった状態からここまでのものを突貫工事で作り上げたのだから、甲府の人たちの『味噌を食いたい』という気持ちがどれだけ強かったのかが窺い知れるというものですよね…」とは、案内をしてくれた五味仁さんの言葉でした。
出荷前の乾燥をしている麹。網の上に広げた布の上に麹を広げて、網の下から空気を送り込んで乾燥させているところです。湿ったままだとどんどん発酵が進んでしまうので、商品として売るときにはこうやって乾燥させるのだとか。あたりにはなんとも言えない良い香りが漂っています。
麹部屋の中で発酵が進む麹。発酵させるための部屋は温度や湿度が大事なので、大きな木造の建物の中にさらにプレハブで小屋が作られています。鉄筋やプラスチックで作られていますが、中の壁は見ての通り板張り。「杉板が適度に湿気を吸収・発散するので内部の湿度が一定になりやすい」と説明してくれましたが、その後に、「まあ、人間も同じですけれど、コンクリ打ちっぱなしの部屋よりも木の部屋のほうが落ち着きますよねえ」と追加。案外、こっちのほうがむしろ本音で、最初の方は後付けの理由かもしれませんね。


五味醤油
http://yamagomiso.com/
所在地:山梨県甲府市城東1-15-10
電話:055-233-3661

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