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エアガンの規制について(1)

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にわかに世の中を騒がしたエアガン乱射事件と、それに続く改造エアガンを取り扱う業者の摘発。報道だけを見ていると、まるで世の中に実銃同様の威力を持ったエアガンが出回っており、誰でも簡単にそれを手に入れることができるような認識を持ってしまう。

どうするべきなのか、何が悪くて何は悪くないのかといったことを論ずるのは(他の人達がやるだろうから、あるいは既にやっているから)ここでは止めておこう。実際にエアガンとはどういうモノなのか、どういう規制がされているのか、あるいはされていないのか。そういったこと、つまり検証の材料になる事実をまとめておこうと思う。

まず前提条件として知っておかなければならないのは、エアガン、つまり「オモチャの銃」が、オモチャであると見なされる基準――具体的にどれだけ以上の威力を持つと実銃とみなされ、どれだけ以下の威力ではオモチャであるとされるのか、そういった基準は、明確な数値では示されていないということだ。オモチャは、実銃に比べて格段に威力が小さく、人や動物を怪我させたり殺してしまったりはできない程度の脅威しかない、という大前提があって、はじめて「実銃ではなく、取り締まるまでもないただのオモチャである」と見なされているのである。

銃の威力を数字で示す指標はいくつかあるが、代表的なものに撃った直後の弾が持つ運動エネルギーの量で示すというものがある。エネルギーを計る単位の基準は「J(ジュール)」である。エアガンの業界団体であるASGK(日本遊戯銃協同組合)は、まず自主規制値を0.4Jと置いた。これは、「これを超えたら間違いなく実銃になるが、これ以下なら間違いなくオモチャである」というような明確なものではない。そもそも、そんな数字が存在するわけがない。「誰がどう見てもこれはヤバイ」という数字から、「どうかな? 人によって判断が違うな」というグレーゾーンを経て、「これは誰がどう見ても大丈夫、オモチャに間違いない」と断言できる数字まで、幅は広い。安全マージンを大きく取った数字、それが0.4Jだったというわけだ。

ここで登場するのが、今回改造エアガンの改造ベースとして多く使われたことで有名となったデジコン(デジコン電子(株))の製品である。デジコンは業界団体には所属せず、問屋を通さずに小売店に直接製品の販売をしているメーカーである。そのデジコンが、業界自主規制値の2倍弱、0.75Jのパワーを持った製品(M92F)の販売を開始する。ASGKはもちろん勧告の類はしたのだろうが、なにせ0.4Jという数字は業界団体の自主規制値に過ぎず、なんの強制力も持たない。そこでASGKは、小売店に対してデジコン製品の取り扱いを止めるように「指導」し、指導に従わない場合は業界団体加盟メーカーの製品の出荷を停止するなどの措置に出ることになる。

これは、独占禁止法に触れる行為である。法律に違反してまで自主規制値を守らない非加盟メーカーの製品の流通を止めようとした……という言い方もできるが、日本は法治国家であり、法律に違反すれば罰を受ける。この件は裁判になり、結果的にはASGKは独占禁止法に違反したとして有罪判決を受け、販売を妨害したことによってデジコン製品の売り上げが減った分の一部を「損害」として賠償しなければならなくなった。(東京地裁平成9年4月9日判決)

このことが、業界内でデジコンを「アンタッチャブル」な存在とし、以降、デジコンの「暴走」が始まることになる。

(つづく)

2011年9月追記
このエントリーを書いたのも随分と昔のことになった。その後、エアガンについては銃刀法にて威力の上限が定められ、その威力を超えるものは違法なものであり、超えないものは合法なものだと明確に区別されるようになった。それを受けて書いたのが下記エントリーだ。

エアガン規制の猶予期間終了・前編
エアガン規制の猶予期間終了・後編

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