射撃のコツ 海外の反応シリーズ

チキントリガーを短期間で消し去る方法【海外の反応】

投稿日:2019年6月22日 更新日:

トリガーが怖くて引けなくなる現象を「チキンフィンガー」といいます。


初めて競技銃を撃った時には、そのトリガーのあまりもの軽さに驚いたものです。決して私だけではないはずです。エアガンやモデルガンで慣れ親しんでいた、力を込めてぐいっと引かなければ微動だにしないトリガーとは全然違う、触れただけで簡単にパンッって弾が出てしまうトリガーは衝撃的でした。

最初に触れた本格的な競技銃は、私の場合は新宿歌舞伎町にあったエアライフル射撃場でのバウ300Sでした。繁華街のどまんなかに実銃が撃てる射撃場がある、なんて話は今の人に言ったら質の悪い冗談にしか思われないでしょうが、昔はそういうのがアリだったんです(法律改正で今は不可になりました。歌舞伎町射場はその改正以前に閉店しています)。

鎖に繋がれ標的方向しか向かないようになったエアライフル。習った通りにコッキングして弾を込め、エアガンのつもりで持ち上げた瞬間、撃つつもりがないのに弾が発射されてしまいました。トリガーガードの中に指を入れた、ただそれだけのつもりだったのに、ちょっとだけトリガーに指が触れ撃発してしまったのです。歌舞伎町射場の天井に数多く開いていた穴のうち一つは、私が開けたものだったのです。

そんな「信じられないほどに軽いトリガー」が、いざ自分で銃を所持して競技を初めてみると、なぜか恐ろしく重く感じるようになってきてしまいます。エアピストルはトリガーの重さが500g以上となるようルールで定められていますから、そういうルールがないエアライフルより重いのは当然としても、ルールの縛りがないフリーピストルの100gあるかないかのトリガーですら、重くて重くて引けないことがたびたびあるのです。

なぜ、「触れれば弾が出る」ほどに軽いトリガーがこんなに重く感じるのか? 一言でいうと「心理的なもの」となるのですが、詳しく理屈で説明するとこうです――自分自身が無意識のうちに自分の指に対して「トリガーを引かせまい」とする力を加えており、それが「トリガーを引きたい」という力と拮抗することでトリガーを重くしてしまっているのです。

通常のプロセスどおりにトリガーを引こうとする、しかしサイトから目を通して入ってくる情報(ふらついて止まらない銃)により、「いや、今トリガーを引くと外れる」という気持ちが意識にならない奥の方で生まれ、その下意識がトリガーを引く指に対して「引くな!」という命令を出します。その結果、「目に見えないなにか」がトリガーをものすごい力で前方に引っ張るような形となり、軽いはずのトリガーが恐ろしく重くなってしまうのです。

「外れるのが怖いから、トリガーを引くのが怖い」という恐怖心がベースとなって発生する現象なので、「チキンフィンガー(ビビり指)」なんて呼び方をします。射撃競技やってる人間なら誰もが悩まされるもので、これを気にしたことがない射手なんていないんじゃないかと思います。

そのチキンフィンガーを、短時間で劇的に解消する方法を見つけたという体験談がTargetTalkに投稿されました。その方法とは意識の持ち方? 何らかのセッティング? いや違います。あるデバイスを射座に持ち込み、ピストルを撃つ前にそれを何度か使うというものです。本当ならすごい話です。いったいどんなモノなのでしょうか?

短時間でできるトリガー記憶トレーニング

引用元:Target Talk / “Short term” trigger memory


  • 私はトリガーフィンガー(人差し指)を鍛えるための、スプリングをギュッと握り込むデバイス(トリガーフィンガースプリングスクイーザ装置)を使ってしばらく練習していたのですが、実際に射撃をしてみるとまだまだチキンフィンガーが発生してしまいます。
    練習の効果が全然出てこないことにムカついてなりません。
    意味がある練習なのだってことは理解しています。けれど、うまい具合に効果が出るってことがあまりないのです。チキンフィンガーは、相変わらずチキンフィンガーのままです。
    ある時期、忙しくて握り込みトレーニングをする時間がなかったので、射座で銃を撃つときにだけデバイスを使ってみました。負荷を重くしてゆっくりと5回引き絞り、それから銃に弾を込めて撃つ……というのを1発撃つごとにやってみたのです。
    驚いたことに、チキンフィンガーが一切発生しなかったのです。
    数日間、この「実射の前に短期間だけトリガー・エクササイズを行う」というプロセスを試してみたのですが、これがまた実に上手く働いてくれるのです。
    強い負荷をかけて毎日トリガーフィンガーのエクササイズをすることは、指を関節炎気味にするだけだったので私はもうそれを止めますが、実射前に数回行うこのやり方は続けていくつもりです。
    (国籍不明)
  • 私は、あなたのいう「トリガーフィンガースプリングスクイーザ装置」について興味があります。リンクや写真はありますか?
    私は電子トリガー付きのモリーニ製エアピストルを使っています。時折チキンフィンガー気味になるとき、電子トリガーの機能を使ってトリガーをスクイーズ(絞る)ことを行います。その経験からいっても、あなたの理論にはうなずける部分が多く、支持します。(マサチューセッツ州)
  • 私に射撃を教えてくれている人は、私に「重要なことは、自信と確信を持って、トリガーを積極的に引くことである」というのを理解させるために1年を費やしました。SCATTの軌跡によって正しさが裏付けられた彼の忠告をここで披露させてもらっても良いでしょうか?
    私は彼のアドバイスに従い、LP50を購入してラピッドファイアピストル競技をはじめました。そしたら正確に撃てるようになり、グルーピングが良くなりました。10mのプレシジョン競技でもチキンフィンガーが消え去り、平均スコアが上がりました。競技中に行うドライファイアは、トリガープロセスをより良い流れを作るための助けになります。(イギリス)
訳者注:LP50はステイヤー製のセミオート5連発エアピストルです。実弾ではなく、エアピストルを使うを使うラピッドファイアピストル競技が世の中にはあるのです。残念ながら日本じゃ行われてませんが……。

  • あの、すいません……。「チキンフィンガー」とは何ですか?(ルーマニア)
  • ここでいう「チキン」とは「恐れている」ということを意味します。脳が「いま撃つ」と決心したその瞬間に、突然指が動くのを拒否し、トリガーがまるで10kgもの重さのように感じます。それは、私たちみんながとても愛し、大事にしている瞬間です。(マサチューセッツ)
  • 基本的に、それは精神的/自信の問題ですが、時間が経つにつれて、それは“筋肉の記憶”になってしまいます。そして、その記憶を修正することは本当に難しいことです。
    あなたの指はトリガーを引くために「屈筋」という筋肉(そして腱)を使います。 逆に、指を伸ばすためには「伸筋」という筋肉と腱を使います。撃発を躊躇しているとき、あなたはただ屈筋を一時停止しているだけではなく、あなたの脳は屈筋に対抗するために伸筋を活性化する命令を出します。その結果、ショットを発射するのに必要な力が、知覚的に劇的に増加することがあります。極端なケースでは伸筋のほうが「勝利」し、トリガから指が離れてしまいます。
    私は、このプロブレムはアメリカで一般的な「2ステージのブレーキングトリガープル」によって悪化させられていると思っています。ファーストステージではある程度の圧力(たとえばエアピストルでは350g)をかけてトリガーを後方に移動した後は、トリガーに加わる圧力が500グラムを超えるまでトリガーは動きを停止します。500gを超えた時点でトリガーは解放され、そして後方へ動きます。撃発までトリガーが動き続ける「ローリングトリガー」に比べ、撃発前にトリガーが停止してしまう「ブレーキングトリガー」のほうが、射手を躊躇させやすいのです。
    私のピストルのトリガーのいくつかは、ブレーキング・ローリングのどちらの方法にも設定できます。私の経験の範囲で話をすれば、ブレイキングトリガーで50年間の射撃を続けても結局私はそれに慣れることができなかったことが、ローリングトリガーのほうが優れていると私が考える理由になっています。もっとも、ローリングトリガーに変更する機能を持っていないピストルもいくつかあります。
    現在の私は過去の自分よりも年上になっているため、据銃安定性は衰えています。ぐらつきが落ち着くまで撃ちたくない――つまり、躊躇し過ぎている自分を自覚しています(いくら待っても銃は静止する時は訪れません)。練習を重ねれば重ねるほどに私の「チキンフィンガー」は悪化してしまい、そのプロブレムを片付けるために多くの作業が必要になるでしょう。(マサチューセッツ)
  • >私は、あなたのいう「トリガーフィンガースプリングスクイーザ装置」について興味があります。リンクや写真はありますか?
    https://www.amazon.com/gp/product/B015HKIKAE

    MIT関係者によって設計されたものだそうです。(国籍不明)
  • ありがとうございます。私は「ProHands Gripmaster」という、より古いものを持っています。それはトリガーボタンを隔離するアクセサリーキットを持っていて、さらには照準器をクリップオンすることもできました。
    私が想像していたのは、こんなガジェットでした。
    http://www.thetriggertrainer.net/

    (マサチューセッツ州)
  • ぐらつきが収まるまでトリガーを引くのを躊躇してしまい、結果としてチキンフィンガーになってしまうプロブレムを解決する方法としては、白い壁に向けてドライファイアを何度も繰り返すことだと本で読みました。それにより、サイトアラインメントとトリガーリリースに集中する技術を身につけるのだと。この練習には、特に他に特別なデバイスは必要ありませんよね?(ルーマニア)
  • 白標に向けたドライファイアと、こういったデバイス、私はその両方が役に立つと確信しています。両方とも取り入れた練習はさらに良いかもしれません。さらに言えば、スプリングを使ったトレーニングデバイスにはある特有の利点があります。トリガーを「絞る」感覚が身につけられるということです。クリックするのではなく、サイトを見ることもなく、スコアを気にすることもなく。
    一般的な競技ピストルでは、「トリガーを絞る」というそれだけのトレーニングをしたくても、それ以外のいろいろな要素が絡んできてしまいます。例えばコッキング動作をしなければならなかったりなどです。モリーニの電子トリガーはコッキングをせずに何度でもドライファイアを繰り返せるという点で大きな利点があります。(マサチューセッツ)

この、「それぞれの指を別々に鍛えることができるグリッパー」って、大昔にGun誌の広告で見た記憶が……。

それはそれとして、トリガーだけに集中して空撃ちをすることを繰り返すことによってチキンフィンガーを一時的に解消する、ということ自体は、実はけっこう行っている射手は大勢います。大きな大会などではことあるごとにピストルを空撃ちモードにして標的に向けてカチカチと鳴らしている射手を良く見かけます。実際に弾を撃つより空撃ちのほうがずっと多いんじゃないかと思える人も珍しくありません。決して初心者だからというわけではなく、「Japan」のロゴを背中に背負った代表チームの射手でも、いやそういう人にこそ多い気がするくらいです。

さらにそれを推し進めて、撃発・サイト・スコアのことを気にすることを排除してトリガーに加える力だけに集中するために、サイトも何もついてない「トリガーフィンガーで、トリガーを引くためだけのデバイス」を射座に持ち込み、それを使って指を動かして「筋肉の記憶」を呼び覚ました状態で射撃を行うという方法は、確かに理にかなっています。

TargetTalkにはけっこう頻繁に「ぼくのかんがえたすごいアイデア」が書き込まれますが、だいたいの場合は常連射手に(根拠を挙げて)否定されます。ぐうの音も出ないレベルで納得できるレスを書き込む常連さんの筆頭がマサチューセッツ州の人なんですが、その人が珍しく「私の経験から言って、あなたの説はおそらく正しい」とまで言ってるのだから、相当に信憑性が高いんじゃないかと思います。

念のためルールを調べてみましたが、射座への持ち込み(試合中の使用)が禁止されているのは「ラジオ、iPods、または似たようなタイプの音響発生または通信装置」と「携帯電話またはその他の手持ち型の通信装置(例えばタブレットなど)、電子装置または腕時計型装置(例えばスマートウォッチなど)」と明記されています。「トリガーフィンガースプリングスクイーザデバイス」の持ち込みを禁止する根拠になりそうな条文は見当たりません。本戦ではなくファイナルでは、机の上に出して良いものについて厳しい制限がありますが、ポケットの中に入れておくことまで禁止しているわけじゃないのでルール的には全く問題ないはずです。

これは、もしかして悩めるピストル射手にとっての福音になるのでは? といってもアメリカAmazonからこんなモノ(失礼)を大枚はたいて輸入するのも馬鹿らしいし、自分で作れないもんだろうかと思いたって……

作ってみたのがコレです。

見た目は、なんというか、非常に「馬鹿みたい」な形してますが……。これ、予想以上に、有用っぽいデバイスです。トリガーが動き出すのがちょうど450~470gくらいに設定してあるので、「トリガーが動き出すまで一気に力を入れる」「動き出したら力を増やすスピードを極端に落とした上で、止めずにそのまま一直線に力を増やし続ける」というピストル射撃におけるトリガーの引き方の基本であり極意を自動的に習得できる仕組みになってます。

そのほかにも、

  1. 人差し指以外はフリーになっているので、少しでも力が入って動くクセがあるととすぐに分かる。
  2. トリガーを引く力と、それを受ける母子球部分を1 vs 1で対応させる感覚が問答無用で身につく。
  3. 引き方が少しでも雑になると、引くときにデバイスが動くのですぐ分かる。

などなど、予想外にデバイスを使用することで得られる「気づき」が多いことが次々に判明しました。

次回は、このデバイスについての詳しい紹介と販売についての案内になります。

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