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「オリンピックから銃を追放せよ」という記事への、USA Shootingの返答【海外の反応】

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昨日、簡単な翻訳を掲載した、3WIRE SPORTSの「オリンピックから銃を追放せよ」という記事に対して、USA Shootingが公式に発表した返信を今日は紹介したいと思います。

USA Shootingという名前は、当ブログでは以前からちょくちょく登場しています。そのサイトには有用な情報が多く、ツマミ食いするだけでも面白い記事をぞくぞくと紹介できるんで重宝しています。ピストル射撃のための筋トレ方法なんかは多くの人に参考にしていたただけるようです。

USA Shootingは、アメリカの射撃競技団体です。「アメリカの銃の団体」というと泣く子も黙るNRA(全米ライフル協会)がありますが、そことは別です。なんでも昔はNRAのいち部門として「アメリカ国内での射撃スポーツを推進し、国際大会に通用する選手を育成する」という活動をしていたのですが、良くわからない理由で仲違いしてNRAと分裂、1995年から独立した非営利法人として活動を開始したのだそうです。

セルフディフェンスとかアンティークガンの収集みたいな「銃の愛好者団体」とは全く異なり、あくまで競技射撃(基本はISSF系だけれどそれ以外のUSAローカルなものも含む)をメインとした競技団体です。ホームページの作りとか活動内容とか見てるとすごくお金がありそうな団体に見えるのですが、「NRAに比べると、金がないなんてもんじゃなく、そりゃもう貧乏なもんだ」とのこと(某元オリンピック選手から聞いた話)。日ラと比べたらそりゃお金持ちなんでしょうけれど……。

「銃は(刀や弓矢とは違って)本質的に暴力的な道具なのだから、オリンピックにはふさわしくない。即座に追放するべきだ」なんていうムチャな意見が、それなりに著名なスポーツライターから出てきたのに対し、USA Shootingは即座に公式な反論をホームページに掲載しました。今回はその内容を紹介したいと思います。

「オリンピックから銃を追放せよ」という記事への、USA Shootingの返答

引用元:USA Shooting’s Response to “No More Guns” Article


    控えめにいっても、今はシューティングスポーツ界にとって困難な時です。ニュージーランドのクライストチャーチで起こった信じられないような悲劇から、その困難は続いています。この世界的に広く知られた、全く意味のない大量殺人が、世界を新たなそして熱烈な銃に関する議論に巻き込みます。それによって生まれる避けられない結果が、恥であり、非難であり、社会的不名誉です。

    スポーツ・ライターであるアラン・アブラハムソン氏が3WIRE SPORTSに掲載した「オリンピックに銃は必要ない」と題するコラムは、最も古いオリンピック・スポーツの1つである射撃競技に対して、それらをすべて提示してきました。これは警戒心の反応ではありますが、その対象は世界中の何百万もの人々が参加するスポーツなのです。

    彼のコラムは、オリンピックのスポーツとしての射撃を除去することを要求しています。この記事は彼のコラムへの「返答」として掲載されるものであり、USA Shootingのオリンピックとパラリンピックのアスリート、そして私たちの希望に満ちた人々と毎日このスポーツに安全に参加している人々を守るものです。彼らが使用するスポーツ用品は、世界で起きている悲劇と全く関連性がないのにも関わらず、それらのすべては不本意に非難されています。

    まず最初に、USA Shootingは、先日起こった悲劇の被害者とその家族の両方に対して、最も深い悲しみと同情を表明します。我々が生きるこの世界で、このような暴力が許される場所など絶対にありません。誰かが銃を犯罪的で残酷な目的に使用しようとしたとき、それがすぐに射撃スポーツ、スポーツマン、そして一般の銃器ファンと関連付けられて考えられるのは残念なことです。

    USA Shooting Teamのスポーツ選手、そして世界中でこのスポーツの競技者として活動している人々は、すべてのクラスすべての区分において射撃スポーツの代表であり、様々なスポーツ観戦者にこのスポーツを紹介することに大きな誇りを持っています。これが彼らの情熱であり、彼らが彼らの全人生を費やしてやってきたことです。彼らはまた、彼らのスポーツの大使として、人々を教育し、彼らが何をし、そしてなぜそれをするのかについてより深い理解を生み出す必要があることを認識しています。

    オリンピックでの射撃スポーツの排除を要求することは、今日の射撃スポーツおよびこのスポーツに参加する影響を受けるすべての人々が内に持っている、この共通した価値観を否定することです。射撃はアメリカを中心としたスポーツではなく、アメリカからの世界大会への参加人数は限られたものになっています。昨年、1058カ国から1,761人の射手が2018年ISSFワールドカップシリーズに出場しました。リオデジャネイロでの2016年のオリンピックでは、97カ国から390人の選手が参加する資格を得ました。19カ国がリオでメダルを獲得しました。この数は水泳、フェンシング、アーチェリー、テコンドーなどのスポーツと同数で、夏季オリンピック大会におけるすべてのスポーツの中でも最も多いものです。

    悲劇の時にこそ、こういったオリンピック選手は、銃で破壊行為を行う人々とは関係が無いのだということを忘れてはなりません。アスリートたちは銃を求め、それが必須である生き方を選びました。そして私達は、彼らにその機会を得る自由があることを高く評価しています。私たちのスポーツ選手と私たちのスポーツを、起こり得るあらゆる悲惨な悲劇と結びつけることは、失礼で無知であるばかりでなく、今日の社会が直面している本当の問題から目を背けることに等しいのです。人間性の欠如はリアルな問題ですが、オリンピックから射撃のスポーツを排除することは、絶対にその問題の解決へは繋がりません。

    こういった議論はいろいろな場所・さまざまな価値観を持ったグループにおいて行われているものですが、他のグループと比べてUSA Shootingがより優れた観点で主張できることがあります。射撃スポーツというものの模範的なあり方を提供してきたという事実です。一般市民や若者達にティーチングを行う際、どのようなクラスであってもその始まりと終わりには必ず銃の所有に伴う責任について話します。

    私たちが扱う射撃スポーツの範囲は広大で、文化、性格、陰謀、信念のるつぼのようです。USA Shootingでは、そのすべてを見つけることができます。私たちのメンバーには競技メインのシューターもいれば、狩猟メインの人もいますし、どちらでもない人もいます。4-H(8~18歳の青少年を対象とした射撃プログラム)、ボーイ&ガールスカウト、米国在郷軍人会や家族をルーツとするミリタリー色の強いグループもあります。USA Shootingは若々しい始まりであり、その間ずっと大学、国際、そしてオリンピックの代表へと移り変わり、生涯にわたって飽きのこない完璧さを追求しています。

    銃の文化に関してたくさんの誤解がありますが、多くの人にとってそれは単なる生き方です。銃は、射撃スポーツ選手にとっては日常生活の一部です。彼らの競技生活は銃とともにありますが、それは安全で、楽しく、そして魅力的なものです。競技射撃スポーツに携わっているほとんどの人は、スポーツそして競技を尊重し、そして最も重要なことに、彼らは彼らの周りの人々と同様に自分が使う銃を尊重します。私たちは常に問いかけ続けます……シューティングレンジに行こうとしない人たち、楽しい時を過すことを拒む人たちに。それが、私たちアスリートが自分たちのやっているスポーツを立派なものへと育てていくための道だと信じるからです。私たち競技者にとっても、クラブメンバーにとっても、そして私たちの親にとっても、銃は私たちがやっているスポーツに必要な道具であり、それはセリーナ・ウィリアムズが持っているテニスラケットと何も違いがなく、競技に勝つためのものなのです。それを使うことで、何が生まれるのだと思いますか? 信じられないほど積み重ねた練習と喜び……それは夢を追求するための道具以外の何物でもありません。

    私たちは、私たちのスポーツ、私たちのアスリート、そして世界の射撃スポーツ界を、断固として擁護します。世界に潜んでいる危険と悪を遠ざけることで、オリンピック・ムーブメントを「消毒」しようとすることは、現実に存在する問題の解決には全く貢献しません……絶対に! それだけではありません。その「消毒」が意味することは、近代オリンピック創設時から続くスポーツの1つと、オリンピックが描いた夢を、不当に排除することに等しいのです。


信じられないような事件が起こり、その事件で使われていたのと「同じ」道具を使っているという理由だけで、ちゃんとしてるはずの自分たちも言われのない非難を受け、時には規制まで受ける……。こんなのは競技射撃の世界だけではない話だと思います。特にエアガン関連のいろんな趣味を持っている人だったら、「他人事ではない」と思い当たることはたくさんあるんじゃないかと思います。

事件を起こした人間を「あいつらはオレタチとは違う」と批判する。なんでもかんでも一緒くたにして批判するやつらに反論する。いろいろ対処方法はあります。それらが間違ったやり方というわけではもちろんありません。大事なことです。

ただなによりも大事なことは、自分自身とその手が届く範囲を「正しいあり方」にしておくこと、少なくても自分は胸をはってそう言える状態にしておくことだ……というのは、前から当ブログでも訴えてきたことです。このUSA Shootingの「返信」では、さらにそれに加えて、「射撃スポーツに関わっている人たちはすべて、自分がその関わっているスポーツの代表であるという自覚を持ち、そのスポーツをオーディエンスに紹介できることに誇りを持ちなさい」と呼びかけています。

ずいぶんとハードルを上げてくれるものだな……と正直なところ思いますが、そのくらいの気概がないと今の世の中で射撃スポーツを文化として守っていくことは難しいのかもしれません。

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