実銃射撃 海外の反応シリーズ

サポート(補助)付きの射撃がブームになりそう?【海外の反応】

投稿日:2017年9月26日 更新日:

「射撃は、年齢・性別・体格・障害の有無にかかわらず、誰でも楽しめるスポーツです」

定型文かってくらいにあちこちに何度も書いてきたこのフレーズですが、実際にこの言葉にはほぼ嘘はありません。年をとって足腰が弱くなってきた、あるいはハンディキャップがあるなどの理由で立射姿勢をとるのが難しい人でも、椅子に座ったり銃を台の上に置いたりという「サポート」の使用を許可することで他の人達と同じように射撃スポーツをすることができます。

障害者射撃は日本でもけっこう盛んで競技者も多く、実は世界大会でもそれなりに良い成績を残している「強豪国」の一角を占めていたりします。ですが高齢者のための射撃については、いちおうマスターズ射撃連盟という組織があり頻繁に大会を開催はしていますが、「参加条件に年齢での区分けがあるだけの、普通の大会」というのがほぼ実情みたいなもので、高齢の競技者を想定した独自のルールというのはあまり整っていません……せいぜい50m射撃でスコープが使えるくらい。

ここ最近、ドイツやイギリスを中心にして、高齢のスポーツ射撃競技者のための国際的なルールを策定し、普及させようという動きが盛んになってきているそうです。銃の重さを支えるサポート(補助)レストを使うことで、体力が落ちてきて1時間以上に及ぶ競技時間中ずっと銃を支え続けるのは難しくなった高齢者でも、若い人と同じ土俵で競技を楽しめるようにするためのルールということのようです。

ISSF(世界の射撃競技の総元締めになる組織)のサイトにも、「サポーテッド・レスト・シューティングのルール」が掲載されています。

RULES FOR ISSF SUPPORTED REST SHOOTING (PDF)

supported-shooting-issf-01上記PDFから引用。横に渡した円柱の上にライフルのフォアエンドを載せています。「レスト」といってもベンチレスト射撃のように銃をしっかりと支えてターゲットに向けた状態で固定できるようなものじゃなく、こういう風に基本的に不安定にしか支えられない(あくまで銃の重さだけをサポートする)ものだということがわかります。


supported-shooting-issf-02同じくPDFから。円柱を半分に切ったようなレストがライフルと同様に横になっていて、そこにグリップの底部を乗っけて撃っています。左右方向の揺れはレストに頼ることで減らせるでしょうが、上下方向は自分で合わせないとなりません。


海外のあちこちから、射撃に関する情報が集まるBBS「Target Talk」にて、アメリカ在住の射手が、ヨーロッパで盛んになりつつあるというサポーテッド・シューティングについての情報を求めるスレッドを立てました。「本場」であるドイツやイギリス、さらにはその他の国からもいろいろと情報が集まる有意義なスレッドに育っていましたので、抜粋して簡単に紹介してみたいと思います。

サポート付きでのエアピストル競技
Supported Air Pistol (Target Talk)


  • サポート(補助)を付けてのシューティング・スポーツというものが、ドイツでとても流行しており急速に成長していると聞きました。イギリスも、ルールや基準を決めるために大きく関与しているとのこと。私は高齢世代シューターの一人として、競技射撃の世界に再チャレンジし、大会に参加するなどして楽しんでいます。サポーテッド・シューティングは現在アメリカ国内のどこで行われていますか? あるいは近い将来、計画されていますか?(アメリカ・ニューイングランド南部)

 

  • サポートというのはどんな性質のものですか? 射撃距離はどのくらいですか?(アメリカ・メイン州)

 

  • ドイツでは、年齢によって3つのクラスにわけられています。50~72歳までが2つのグループ、72歳以上はスツールに座ることができます。射撃は全て標準的なエアピストル用10m射撃場を使用します。(ドイツ)

 

※訳者注:年齢でのクラス分けについては国や地域によって様々なローカルルールがあると思います。ちなみにISSFルールでは、56~65が「シニアA」、66~71が「シニアB」、72以上が「シニアC」という区分になっています。シニアCのみ、スツール(背もたれのない椅子)に座っての射撃になります。なお年齢については、「大会が開催される年の12月31日時点での年齢」を基準にするとのこと。

 

  • サポートは、エアライフルで使うライフルスタンドに似た形のものです。射手は、地面と射線に並行な丸いチューブの上に、グリップの底部だけを置くことができます。Rink Gripはサポーテッド・シューティング用にグリップ基部を延長したモディファイド・グリップを販売しています。チューブの前後位置が銃の重心に近くなるようにするためのものです。グリップとチューブの接触面積は極めて小さいものです。
    私の理解では、レストすることにより射手が感じるピストルの重さは軽減されますが、照準、呼吸のコントロール、トリガーリリースなどは、基本的に通常の射撃と変わりません。(アメリカ・ニューイングランド南部)
rink-grip-supported-shootingピストル用のカスタムグリップでは定評のあるRink Gripのサイトにある、サポーテッド・シューティングに使うためのエアピストル用グリップ。グリップ底部を前方に伸ばし、そこをレストに載せることで、普通にグリップ底部を載せるよりも安定させることができるというものらしいですね。


 

  • 実際のところ、私が77歳になったときに競技を続けるとしたら、エアライフルでのベンチレストくらいしか選択肢がないと思います。といっても今使ってるFWB602はもう使えなくなるでしょう。エアピストルは……無理です。(アメリカ・メイン州) 

 

  • エアピストルを使うサポーテッド・シューティングは、ドイツで古くから行われていたライフルを使うサポーテッド・シューティングから派生したものだと、私は思います。圧縮空気式の銃なら、一発撃つたびにレバーをコッキングしなければならないポンプ式銃よりも簡単です。(アメリカ・ニューイングランド南部)

 

  • ISSFのサイトに、ライフルとピストル両方のサポーテッド・シューティングについての詳細情報があります。どんなレストが使えるか、写真が掲載されています。(アメリカ・ニューイングランド南部)

 

  • 情報をありがというございます。私が所属しているクラブは、クラブハウスに10mの空気銃用射場を増設しています。基本的には、ピストルでもライフルでもサポートされるのは「銃の重さ」だけであり、その他の要素については一切のサポートがないということだと思います。
    私は以前からベンチレスト射撃(スコープや、銃をほぼ完全に静止させることができる頑丈なレストを使用する射撃)に興味があり、ターゲットを通常よりずっと小さくすることができました。50フィート、あるいは50mで10mでのエアライフルターゲットを撃つこともできます。
    地元には、リムファイア競技用の50フィートのインドア射場がありますが、50mを撃つためには屋外まで出ないとなりません(訳者注:50フィートは約15m)。大きな納屋とか倉庫なんかを見つけることができればいいのですが。(アメリカ・メイン州)

 

  • ドイツ語では「Auflageschiessen」といいます。エアピストルに限定して検索するなら、「Auflageschiessen Luftpistole」と入力するといいでしょう。(ドイツ)

 

  • USAシューティング(訳者注:アメリカ国内での競技射撃の総元締め、と考えておけば間違いないでしょう)は、このISSF競技について、何かアクションを起こしたことはあるのでしょうか? すでに何らかの形で採用してたり、あるいは考慮してたりするのですか?(多分、アメリカ)

 

  • このサポーテッド・シューティングはISSFの「正式競技」ではありません。通常の方法で勝てない人々のために作られた、「別のもう一つ」のイベントです。(ニュージーランド)

 

  • ISSFサイトにUPされているPDFを見て下さい。これが実際に56歳以上のシューティングゲームとして、ISSFが認定しているものだということが分かると思います(多分、アメリカ)

 

訳者注:「正式競技とはなんぞや」って定義がどうもよくわからないので、このニュージーランドの人が言ってることが正しいのかもわかりません。少なくてもISSFのサイトに「公式ルール」が掲載されている以上、正式な競技じゃないってことはないんじゃないかとは思うんですけれど……。

 

  • USAシューティングには「プログレッシブ・ポジション・エアピストル」と呼ばれるジュニアプログラムがあります。この競技ではカウンターウエイトシステムを使用しますが、スタビリティ(安定性)が増すことはありません。ピストルに対して、垂直に持ち上げる力を提供して射手が銃を支えることをサポートしますが、それ以外の力は銃に加えないのが特徴です。このシステムを、老齢射手に適応できない理由はないと思います。
    カウンターウェイトシステムの作成手順は次のとおりです。
    オリジナルの「T型」スタンド
    改良された「L型」スタンド
    (アメリカ・マサチューセッツ州) 
page_1これが画像です。パイプの上部に滑車があり、銃にかけてあるフックから伸びるワイヤーはその滑車を通してパイプの中にあるオモリにつながっています。オモリが下に落ちようとする力が滑車を通して銃を上方向に引っ張る力になり、銃の重さを「サポート」してくれるというものですね。


  • そういえば、大口径ライフル競技には「Fクラス」というのがありますが、これはいくぶん類似した歴史を持っています。Fクラスは、カナダのFarqhuarson氏の名が元になったクラスです。彼は加齢による「slings」と「arrows」に苦しんでおり(訳者注:辞書で引いてもslingは負い紐、arrowは矢としか書いてなくて、加齢によって苦しむ何かに該当しそうな訳語が見当たりません……)、ルールによって定められた大口径ライフルの射撃ポジションを保持することができなくなってきました。
    しかし彼は射撃を続けたいと思い、高齢者向けにモディファイされた競技ルールを作り普及させることに成功しました。それは伏射でスコープとフロント&リアにレストを用いるものです。「ベンチレスト・オン・ユア・ベリー」と呼ばれることもあります。(アメリカ・メイン州)

 

  • このサイトには、「ピストルに使うベンチレスト用オプションパーツ」がいくつか掲載されています。
    いつものことですが、非常識な価格です。(多分、アメリカ)

 

  • >ベンチレスト用オプションパーツが非常識な価格
    ありがとうございます!
    先ほど、ドイツ語でのイベント名称を教えていただいたのでそれで検索してみました。設備の充実度や、数多くの種類があるレストやスタンドに驚きました。どれもとても安価とは言えない価格でしたが、それにもかかわらず極めて急速に成長・普及している射撃スポーツです。高齢者の一人として、私はこのスポーツがドイツ以外でも普及していくことを本当に好ましく思います。(アメリカ・ニューイングランド南部)

 

  • USAシューティングに、このISSFプログラムについてメールを出しました。私は、高齢者のためのこのプログラムは、ジュニアのために作られた既存の「プログレッシブ・ポジション・エア・ピストル」プログラムを補完するものであると強調しました。返事が来たら報告します。
    もちろん、私以外の誰か(つまりはあなた)が、要望を出すことを妨げるものではありません。尋ねる人々が多くなればなるほど、回答が得られるチャンスが増えます。USAシューティングのWebサイトにログインして「お問い合わせ」タブをクリックして、あなたの考えを送ってみて下さい。(多分、アメリカ)

 

  • オランダでは、エアライフルとエアピストルでサポーテッド・シューティングが行われています。基本的にドイツのルールに従いますが、唯一の違いは年齢です。55歳から65歳までが「ベテラン1」、65歳以上で「ベテラン2」というクラスになります。このルールは、15歳未満のジュニアにも使用されています。我が国の射撃協会(KNSA)によって定められたサポーテッド・シューティングに関する写真を2枚、添付します。(訳者注:添付するって書いてあるけれど添付されてません。操作がよくわからなかったパターンかも)
    ルールはこんな具合です――エアライフルは、ストックの端部で支持されなければならず、ピストルはグリップの底部で支持されなければなりません。サポートは銃の重量を背負います。ライフルの場合、先端近くにできるだけ多くの質量が必要です。そうしないと、肩から滑り落ちます。ターゲットから90度ではなく、30度の角度で立つのが正しい角度です(Heinz Reinkemeierのサイトを参照)。 見た目よりもはるかに難しいです。サポート(補助)無しでの立射では銃が平行移動しますが、サポート有りだとターゲットに対する銃の角度の変位を引き起こします。
    実際に試してみれば、10を撃ち続けるのがどれほど難しいのか驚くでしょう。(オランダ)

 

  • NTCシューティングクラブでは今年、コロラドスプリングスのOTCの毎月のトーナメントで、補助付きのライフルおよびピストルの大会を開催しています。マッチプログラムをご希望の場合はお知らせください。(アメリカ)

 

  • 25年のブランクの後に10mピストル射撃を再開した私ですが、再開後の最初の大会はテキサス州ダラスで開催された「ISSFサポーテッド・レスト・ピストルマッチ」でした。この新しいオプション・ルールで参加することを許してくれた地元のクラブに感謝します。
    ブランク前の最後の4試合では、8.1平均を撃っていました。まだ一回しか大会に参加していませんがサポーテッド・レスト・オプションでは8.9平均を撃てています。少し良い点数にはなっていますが、決して簡単な射撃ではありません。湾曲した台の上でバランスをとって撃つのは、ピストルをピンの頭に合わせるようなものです。
    50mm×100mmの半円形のレスト(写真ではダークブラウンをしているもの)は3Dプリントしたパーツです。
    「年をとると、思い出からまず旅立っていく」と良く言いますが、25年のブランクを経てもフリンチ癖は消えていませんでした(訳者注:フリンチというのは「反動の記憶」に対処しようとする身体反応です。25年の月日ですら、「反動の記憶」を消し去ってはくれなかったという意味ですね)。
    正直、サポーテッド・シューティングを続けるかどうかは分かりませんが、興味があるということだけは言っておきたいと思います。(多分、間違いなくアメリカ)
fileこれが上の人が投稿した写真です。カマボコみたいな形をしたレストにグリップの底部を乗っけて撃つ、ISSFルールで定められているのとほぼ同じ形のものですね。


 

  • サポーテッド・ピストル・シューティングの正しいやり方を示してくれる、ナイスな写真です。私は半円形のレストが大好きです。オランダでも同じルールで競技が行われていますが、国内ルールでは半円形の他、直径30mmのパイプの頂点部分だけをサポートに使うことも認められています。(オランダ)

 

  • 写真を見るとわかりますが、私は三脚を使用しています。高さを上下に調整してから位置をマークし、足で三脚の足の一つを支えていました。アメリカでは認可されたスタイルではありません。
    ヨーロッパで、サポーテッド・シューティングが広く行われるようになるのは良いことですが、アメリカでは今のところ、それほど牽引力があるとは言いづらいものがあります。(多分、間違いなくアメリカ)

「台の上に乗せて撃つとか、それって既にスポーツとは呼べないだろう」という感想が来そうです。スポーツというのはモリモリした筋肉の力を使うものじゃなきゃならないという根強い偏見があり、そういう偏見を持った人からだとただでさえ「スポーツっぽくない」と言われることが多い射撃の唯一の筋肉使う要素である「銃を支える」ってところまでサポートされてしまうのだったら、そりゃもう完全にスポーツじゃない……って感想を持つ人がいることは容易に予想できます。

ですが実際のところ、射撃スポーツにおいて「筋肉の力で、銃を支える」という要素はもともと大した重要性を占めていません。むしろ筋肉で銃を支えるのは「良くない、間違った」射撃姿勢だったりするくらいです。大事なのは筋肉の力を使わずとも銃を安定させて同じ場所(ターゲットの中心)を照準し続けることができるような姿勢をどうやって作るか、その姿勢をどうやって毎回同じように再現し、維持するかという、「自らの身体に対する、極めて高度で繊細な制御技術」こそが射撃スポーツで求められる身体能力なのです。

そしてその技術は、サポートがあったからといって必要でなくなるものでもありません。「射撃の難しさ」の真髄めいた部分はサポーテッド・シューティングでも失われることはなく、それにより年齢や障害などによって筋力に不安のある人でも射撃スポーツを変わらず楽しめる、これは素晴らしいことだと思います。

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