SCATT、高いヤツ(MX-02)と安いヤツ(Basic)の比較


銀座銃砲店の夏セールでSCATT Basicが激安価格で売り出されたショックからも、そろそろ立ち直りつつあります。聞く話によればさすがに一瞬で売り切れたそうで、今注文すると(9/30までは夏セール期間内)入荷待ちでいつになるかわからん的な回答をいただけるとか。

ロシア製ってだけあって誰でも簡単に使えるというわけでもなく、不親切なマニュアル、操作通りの反応を示さないソフトと、いろいろ厄介な部分もあるSCATTですが、実際に所持して活用してる人からは、「上達するためにはほぼ必須」「あるとないとじゃまるで違う」「ほとんどチートアイテムに近い」という具合に、お薦めコメントがたくさん聞けます。

今の時点で購入の選択肢になるのは、MX-02(高い方)と、Basic(安い方)の2種類があります。機能的にはほぼ同じで、小型のカメラを銃に固定してターゲットを撮影し、その画像データをUSBで繋いだPCに送ってPC側のソフトで解析し、「銃が今どこを向いているのか」を割り出して画面上に表示するというものです。弾を撃つか、あるいは空撃ちをするとそのときの衝撃をセンサーで感知し、「今、弾を撃った」と判断してその瞬間に銃口が向いていた場所を「着弾点」として記録、表示するものです。

価格には大きな違いがあるMX-02とBasic。実際の性能についてはどういった違いがあるのか、これがちょいと複雑でなかなか説明が難しいところがあります。なので、いちおう両方を使ったことがある(所持してるのはBasicだけですが)身として、実際に使って感じた両者の違いを比較表にしてみました。購入を考えている方は、参考にしていただければ幸いです。

 

製品名 scatt-scatt-mx-02-mx02MX-02 scatt-basic09Basic
付属品 本体、マウント用の金具、屋外用の絞り(アイリス)、USBケーブル、ソフトウェア、マニュアル
ほぼ同じ。初回版には限定でキャリングケースが付属した
重量 36g 29g
Basicのほうが小型ってだけあって軽いが、ほとんど誤差
対応OS WindowsXP,7,8,10 WindowsXP,7,8,10およびMac OS
Mac OSに対応している点がBasicの大きな利点。別途ドライバーを入れればXPや7といった古めのWindowsでも動く
対応距離 2.5m以上 2.5~50m
MX-02は無限大距離まで対応している。Basicは50mまでだがISSF射撃ならそれで十分
対応ターゲット 95種類 12種類
MX02は、Basicが対応していない1000ヤードといった超遠距離にも対応していることもあり、圧倒的にMX02の方が豊富
近距離用ターゲット印刷機能 有り 有り
これは基本的な機能として両方とも持ってる
レンズ性能 かなり良い 実用上問題なし
同条件で試すとMX-02の方が滑らかに軌跡が表示される(後述)
ピント調整 有り 無し
MX-02は距離に合わせてレンズ部分のダイヤルを回す箇所があるがBasicは完全固定
衝撃センサーの調整 やりづらい やりやすい
Basicでは衝撃の大きさがバーで表示されるのでセンサー感度の設定がやりやすい。MX-02はそれがないのでとてもやりづらい(後述)
軌跡の色分け 緑→黄→青→赤 緑→黄→赤
撃発1秒前から黄色になるのは同じだが、0.2秒前から撃発時が青色で別表示されるのはMX-02の利点
軌跡の見易さ 見やすい 見づらい
Basicの軌跡は妙に太く、拡大すると線の太さも同時に拡大されるので細かい部分が見づらい。着弾点が軌跡に隠れて見えなくなることもしばしば
ゼロ点補正 有り 有り
実際に銃に弾を装填して撃った後、画面上の着弾点を実際の着弾点に合わせることで補正が可能
得点表示 見やすい 見づらい
MX02では電子標的と同じように、「今の得点」が画面に大きく表示される。Basicでも表示はされるが非常に小さくて見づらい
モード切替 練習モード、試合モード 練習モードだけ
試射・本射といった試合形式での使用が可能なMX-02に対し、Basicは「ただ撃つだけ」のことしかできない
情報量 豊富 必要最小限
細かいデータを表示可能なMX-02と違い、Basicは基本的には得点のみの表示。詳しくは後述
分析機能 豊富 無し
これがMX-02とBasicの最も大きな違い。詳しくは後述
価格 180,000円 84,500円
共に銀座銃砲店の夏セール価格

 

対応OSの違い

Mac OSに対応している点が、Basicの大きな利点の一つと言える。実際、「あ、Macに対応したのか、なら買おう」って言った人が、自分の見た範囲で数人いるのでシェア拡大って点ではけっこうでかい変更点じゃないかと思う。ただ自分はMacには詳しくないので、例えばiPhoneで使えるのかどうかってことはよくわからない……多分、ダメだよね?

公式サイトに別途UPされているドライバーをインストールすることで、Windows XPや7といった「かなり古いOS」にも対応している。ソフトそのもののアップデートもけっこう頻繁に行われていて、最新のソフトはMX02用が2017年5月23日公開(Ver.6.82.0)、Basic用が2017年8月11日公開(Ver.1.0.0b)となっている。Basic用については発売当初に公開されていたソフトにはついていなかった「軌跡の自動再生機能」「射撃時のサウンド再生」「日本独自の電源周波数(50Hz/60Hz)に対応」「多言語対応」など、様々な機能が追加になっていてまるで別物である。

レンズの性能

カメラのキャリブレーションのやりやすさについてはMX-02の圧勝だ。両方を同じ室内射撃場で試してみたところ、Basicだとカメラの感度調整を念入りに行わないと照準点がとぎれとぎれにしか表示されないのに対し、MX02はほとんど調整をしなくても常に・滑らかに表示されるという違いがあった。

レンズの見た目もけっこう異なる。最もコストがかかる部分だけに、値段の差はここに出ているのではないだろうか。

衝撃センサー

MX-02の思わぬ弱点がここ。Basicのキャリブレーション画面では、衝撃センサーが感知した衝撃の大きさがバーで表示されるので、それを参考にしてセンサー感度のレベルメーターを左右に動かして適切な位置を設定するだけでOK。電子トリガーの小さな空撃ち音から装薬ライフルの衝撃まで幅広く対応する。

MX-02にもセンサー感度を調整するためのレベルメーターはあるが、センサーが感知した衝撃を表示するバーがないため、適切な感度を見つけるために、何度も撃って手探りで見つけなければならない。しかもそのスライドバーの挙動がどうも怪しく、「もっとも敏感」に設定しても反応しないこともあれば「もっとも鈍感」に設定するとなぜか反応したり、その逆だったりとよくわからない動きをすることがある。

お借りしたMX-02では、モリーニの空撃ち(電子トリガーでソレノイドをカチンと動かしただけの衝撃)では反応させることができなかった。海外掲示板を見ても「MX-02は、モリーニの空撃ちでは使えない」って書いてる人がいるので、どうやら個体の不具合というわけでもなさそうだ。

情報量や分析機能

MX02では得点の他、構え始めてから撃つまでにかかった時間や、構えている間に軌跡が10点圏にいた時間が占める割合などが表示される。Basicでは得点(小数点付きと素点の2通り)とシリーズごとの合計点、それとこれまで撃った得点の合計と平均のみと極めてシンプルである。

ターゲット画面も、MX02では「これまでの弾着の中心点」が常に表示される(電子標的と同じ)が、Basicではそんな機能はない。

さらに大きな違いが、撃った後に蓄積されたデータの分析機能である。縦方向・横方向の揺れや、ターゲット中心からの距離をグラフで表示したり、構えてから撃つまでの時間や、撃発直前の銃口の揺れを数値化して表示するなど、その分析機能は極めて詳細で多岐にわたる。ただし、その機能を射手が個人で使いこなして自分自身の射撃を分析するというのは、少しハードルが高いかもしれない。基本的には、多数の教え子を抱えたコーチが、それぞれの射手の能力推移を把握しやすくするためのものと考えた方が良いかもしれない。

BasicとMX-02の使用目的および対象としている射手のタイプを一言でいうと、

  • Basic…自分の射撃のダメなところを明らかにするための道具。AP60で550点台くらいまでの射手が560以上を撃つためのもの
  • MX-02…より洗練された高度な射撃を実現するための方法を探る道具。AP60で560点台を普通に撃つ射手が570~580以上を目指すためのもの

というのが、両方を触ってみての感想だ。




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